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2015 WINTER Vol.3


「観光立国」から地方創生を考える

多様なツーリズムによる地域創生の実現(『新・観光立国論』資料編より)
北海道におけるインダストリアルツーリズム

 
 昨今の地方創生論議のなかでも、地域資源を活用して地域の活性化を図るためには、日本の魅力・地方の魅力を活かした観光が大きな飛躍の要素として位置づけられています。前頁でも言及し、本年三月に視察にも伺った苫小牧東部地域(以下、「苫東」)を例に、インダストリアルツーリズムの可能性について紹介します。

 苫東は東西九㎞、南北一二㎞、開発面積一〇七〇〇haに及ぶ日本最大級の大規模工業開発地区です。年間一九〇〇万人を超える旅客数を誇る新千歳空港、北海道の海の玄関口としての役割を果たす苫小牧港から近く、高速道路とも近接し、新千歳空港まで一五分、札幌まで六〇分と交通インフラも整備されています。このような広大な土地や恵まれた立地、敷地内に整備された強固なエネルギーインフラ基盤などを活かし、自動車関連産業や石油備蓄基地などが立地しているほか、最近では先端技術を活用した新たな産業立地が進められています。

●植物工場 

 

 苫東では、ICT技術を活用し、光や温度、養分などの栽培環境をコンピューター制御で最適化する植物工場を誘致、いちごやトマト、ベビーリーフなどの栽培を行っています。季節や天候に左右されず、一年を通して高品質な作物の生産が可能であり、最先端の省エネ技術等と組み合わせることによって、最先端のスマートアグリシステムを推進するとともに、既に多くの視察を受け入れており、インダストリアルツーリズムを展開し始めています。

 





●メガソーラー

 
 冷涼小雪で豊富な日射量を有する気候条件と広大な土地を活用し、苫東ではメガソーラーの集積が進んでいます。シャープによる第1、第2太陽光発電所が稼働しているほか、12月1日にはソフトバンクグループのSBエナジーと三井物産の出資により、国内最大級のメガソーラー(出力規模:約111MW、年間予想発電量:一般家庭約3万世帯分)が運転を開始しました。かつて石炭によって日本のエネルギーを支えた北海道には、広大な土地や自然資源を背景に、太陽光、風力、地熱、小水力など、多様な再生可能エネルギーが賦存しています。このようなエネルギー分野においても先端技術を活用することによって、インダストリアルツーリズムの可能性がさらに広がります。 

  

 本書資料編では、各地域のポテンシャルに着目し、「真の統合型リゾート」の形成による地域創生に向けた多様なツーリズム構想を例示しています。観光戦略を考えるにあたり、地域の誇りに対して創造的に付加価値をつけていくという視点が極めて重要であり、私たちが暮らしている地域のポテンシャルを改めて見つめ直し、「真の統合型リゾート」を構想するきっかけとして『新・観光立国論』が活用されれば、この上ない喜びです。