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2011年第5号より

親鸞聖人750回御遠忌讃仰行事「今を生きる親鸞」東本願寺講演会
2011年5月10日(火) 会場:京都東本願寺


shinran

  2011年5月10日(火)、京都東本願寺において親鸞聖人が亡くなって750年にあたる御遠忌讃仰講演会が行われ、寺島実郎は「今を生きる親鸞」というテーマで全国から集った高僧や門徒たち約350人を対象に講演を行いました。
 
  寺島は冒頭に、約4年前に高野山夏季講座で空海をテーマに講演した体験に触れ、遣唐使として当時の超先進国の唐・長安に留学し、真言密教の真髄を習得し、現代の理系エンジニアリングに通じる様々な工学技術を日本にもたらした天才としての空海を、親鸞と対照的な人物として語りました。講演では「親鸞聖人の深さ、偉大さは『目線の低さ』であり、3.11東日本大震災のような極度の危機に直面したとき人間社会は瞬時にフラットになり、貴賎や善悪、階層が無意味となり、専修念仏の下での絶対平等を説いた親鸞の言葉の意味を、今日本人が深く実感している」と述べました。
 
   親鸞の名がインドの世親(せしん)と、中国・曇鸞(どんらん)に源があるように、ユーラシアを流れる浄土教思想を広く吸い込んでいる事、また阿弥陀仏あるいは神の前での絶対平等という宗教比較面でのキリスト教(かつては景教とも呼ばれた)との接点について述べ、ユーラシア大陸の豊かな思想が相互啓発し浄土真宗に繋がっていると論じました。親鸞の凄みは教義を読んで知るのでなく、心に秘めて全身全霊で時代と闘ってきた面にあり、親鸞700回忌には1961年91歳だった鈴木大拙が講演会を行い、安保改定で日本が揉めた時代に<真宗の中にある日本人が外の世界になし得る偉大な貢献は、弱者と普通の人のための日本仏教の理念>と語った思想について言及しました。親鸞以前の仏教は国家が保護し育てた存在だったのに対し、時の権威者と距離を取り衆生民衆の側に基点を置くパラダイム転換となった事が正に「目線の低さ」である。五木寛之が述べた和魂和才を再考する時、世界に通用する開かれた和の魂として、仏教のパラダイム転換として登場した親鸞の存在感を実感すると述べて講演を締め括りました。
 終了後は場内の質疑に応え、原発事故を経て日本はエネルギーのベストミックスに知恵を絞り、技術蓄積と人材育成という面で原子力の平和利用を積み上げる立場にある事、また「他力」は常に自力との緊張感があり、やはり自分を律する姿勢が大事であろう点について話し、盛大な拍手に包まれ講演会を終えました。