2011年第4号より
多摩大学 寺島実郎監修リレー講座2011春学期開講
『現代世界解析講座Ⅳ ー 21世紀初頭の10年を超えて』
2011年4月21日(木) 会場:多摩大学 多摩キャンパス001教室
2011年4月21日(木)、寺島実郎が学長を務める多摩大学で4年目となる寺島実郎監修リレー講座「現代世界解析講座―21世紀初頭の10年を超えて」の春学期が開講。本リレー講座は、多摩大学の2年生以上の学生の必修科目であるとともに、多摩地域等の社会人にも公開され、寺島のネットワークする産官学メディアの有識者が講師となり全12回開催されます。
初回は、寺島実郎が講師を務め、3.11の東日本大震災を踏まえ、「直面している構造変化とは何か」をテーマに講義を開始しました。冒頭、寺島は震災時の体験を踏まえ、今回の震災によって、現代人は等身大ではない技術に依存して生きていると思い知らされたと語った。当日、寺島は出張のため新幹線で移動中であったが、新幹線の脱線等大事故が発生しなかったことを伝え、震災時に機能したこと・しなかったことを整理することが必要と述べた。また、原発についても、エネルギーベストミックス論者である立場から、原発をただちに廃止すれば済む問題ではないと述べた。その背景には、中国等近隣諸国の原子力開発は加速しており、日本が原発を廃止しても同様のリスクは存在するため、日本は原子力の平和安全利用の技術基盤を蓄積し、技術者を育て、国際エネルギー分野での発言力を高めておく必要があると言及した。
震災復興プランについては、街並みや堤防を単に造り直すのではなく、日本を創り変える構想が必要と言及し、その前提となる重要な視点・数字として、震災の有無に関係なく予測されている東北6県の過疎化・高齢化・人口減少(人口:2010年1,168万人⇒2050年727万人へ、65歳以上人口比率:2010年25.9%⇒2050年44.6%へと予測)、また、対米貿易から対アジア貿易への貿易構造の変化(対米貿易比重:1990年輸出32%・輸入22%⇒2010年(1-11月)各15%・10%。対アジア貿易比重:1990年輸出31%・輸入29%⇒2010年(1-11月)各56%・45%)を説明。そして、第2次産業の生産拠点の海外への移転が予測される現在において、第1次産業を育て食材王国として東北を復興していくことの重要性、若者が十分に生活できるだけの産業力の必要性について述べ、さらに、太平洋側と日本海側の地域を相関させて戦略を練ることが重要と説明した。