寺島文庫

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2017 SPRING  Vol.7

【寺島文庫客員研究員からの寄稿】

◆スリランカ・キャンディでの空手指導   カルロヴァー・ペトラ(寺島文庫客員研究員)

 2016年12月28日、スリランカ・キャンディのMahaweli National College of Educationという大学で子どもたちに空手を教えました。早稲田大学の博士号を取得後、何かの貢献を通じて深く学びたいと思っていたからです。この希望は、スリランカ和道国際空手連盟の会長・ルワン(Ruwan Mavekumbura)先生がかなえてくださいました。

 私は日本空手協会大志塾で中達也師範など優秀な先生方に伝統ある松濤館流空手を学び、2014年から稽古の様子をフェイスブックに載せています。そのおかげで、ルワン先生とフェイスブックで友達になりました。私の投稿に深い感謝の言葉を述べてくださり、今回、私がスリランカで稽古の指導ができるよう手配してくださったのです。

 大学に行ってみると、キャンパスを道着姿の子どもたちが歩いているのを見て、ドキドキしました。道場では、ビートルの葉っぱやオイルランプの儀式、大学指導者のスピーチ、私の写真が載っている大きなポスターと、まるで大先生のように歓迎されました。また、子どもたちの一グループがこの稽古を受けるために早起きして、コロンボからバスで5時間もかけて来たと知りました。稽古の参加者は約70人で、ほとんどが下級の色帯でした。スリランカは2009年5月まで内戦(1983~2009年スリランカ政府とタミル・イーラム解放のトラとの戦争)のため、空手を学ぶ機会がありませんでした。現在も、経済は不安定で、諸外国で学ぶためのビザ取得も難しく、空手の高い技術レベルを達成するのが厳しい状況なのです。このような背の中で、大志塾で学んだ知識と指導方法、早稲田大学で得た教育スキルを活かして、私ならではの空手指導を行い、今回の指導がどれほど役に立ち、価値があったのか実感しました。

 稽古のあと、アンケートを取ったところ、72.5%が「多くを学びました」、74.2%が「とても良かった」と答えてくれたのです。また、私の指導を手伝ってくれたスリランカの指導員が今日学んだことを早速自分の指導に取り入れると言ってくださいました。現地の皆さんの今後の課題とそれを指導することでどのように解決するのかが分かったので、またスリランカに指導と研究に行きたいと思います。

(筆者プロフィール)

 チェコ人。2015年早稲田大学アジア太平洋研究科国際研究専攻博士号。

 現在、早稲田大学グローバルエデュケーションセンター教職員。