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【北海道研究会第3回】
 講師:市岡浩子氏(多摩大学グローバルスタディーズ学部教授/前札幌国際大学観光学部教授)


 2015年1月23日(金)、文庫Caféみねるばの森で、寺島文庫塾第3回北海道研究会が開催されました。今回は、多摩大学グローバルスタディーズ学部教授で前札幌国際大学観光学部教授の市岡浩子氏を講師にお招きし、「北海道の観光政策と現状〜インバウンドを中心に〜」をテーマに講義を行っていただきました。

 市岡教授は、まず議論の前提として、北海道観光の現状について、外国人観光客の3分の1を占める台湾には絶対的な「北海道ファン」が多いこと、タイでは雪をはじめとした北海道の四季を感じるプログラムや日本食に関心が高いことなど、各国の観光ニーズの特徴を分析したうえで、台湾リピーターやロシアなどを重視すべきマーケットに挙げ、東・東南アジアを中心としたインバウンドは今後も北海道観光の要であるとともに、観光入込客数の9割を占める道内マーケットの重要性についても言及しました。

  続いて、北海道観光の課題と可能性ついて、北海道は、ブランド力の高さ、質の高い一次産業に支えられた食・自然といった圧倒的な強みがある一方で、弱点として長期的ビジョンの欠如やマーケティングの不足、観光振興が官に依存していることなどを指摘しました。このような強みを生かし、弱みを克服するためには、北海道新幹線の延伸やニセコをはじめとした長期滞在マーケットの拡大、ハイエンドなクルーズデスティネーションとしてのポジショニングといった機会を積極的に生かした施策展開が重要であると語りました。

 そして、政策や推進体制の観点から、長期的な地域ビジョンに基づいた観光施策や国際水準の評価指標の設定が必要であるほか、観光振興に係る予算と人員の強化、官民一体となった「オール北海道」での推進体制の構築が不可欠との認識を述べました。最後に具体的なプロジェクトとして、ハイエンドなクルーズ・クルーズトレイン、湯治を活用した温泉療法リゾートによるメディカルツーリズム、冷涼な気候や広大な土地を生かして合宿やイベントを誘致するスポーツツーリズム、魅力的な食と北海道らしい一次産業を組み合わせたグリーンツーリズムやワインツーリズムなど、今後の北海道観光の振興に向けた提言を熱く語りました。
 講義後、参加者との質疑応答や懇親会の場においても活発な議論が行われ盛況のうちに閉会いたしました。