「働く文化の違い」
Cultural difference in working place
What is “Warm “thing and “Cold” happening in your working experience?
アジアキャリア開発研究会
2011年5月28日(土)開催「アジアキャリアセミナー」開催報告
去る5月28日(土)、アジアキャリア開発研究会によるアジアキャリアセミナー「働く文化の違い」が文庫Caféみねるばの森にて開催されました。
冒頭、プロジェクトの代表かつファシリテータを務める佐藤研究員が本セミナーの主旨であるアジアの学生が移動する時代について説明しました。まず佐藤研究員は、2008年時点でアジアからOECD加盟国への留学生は中国から44万人・韓国から1万人・ASEANから16万人(ただし韓国はOECD加盟)というOECDのデータを交えながら、世界はアジアの大学生が大移動する時代を迎えていると述べました。そして、さらにキャンパス・アジア構想(※1)も始まる中で、今後学ぶ場だけでなく働く環境も多国籍化するとし、自らが海外に行かなくても職場で横にいる人は外国から移動してきた人という時代がやってくる以上、お互いの働く文化を相互共有することが重要であると語りました。そして最後に、本研究会の目的は、文化の違いを定義するのではなくケーススタディを集めていくことと述べ、そのアイデアのヒントをもらったのは立命館アジア太平洋大学初代学長 坂本先生からだと結びました。
続くゲスト挨拶で坂本先生は、広く大学の垣根を越えて様々な人と話をする機会が留学生にとって必要であり、そうした場に参加することは日本人の学生にとっても有意義であると考えてきたと延べ、そして、そうした場がここ寺島文庫からスタートできて嬉しいと語りました。
その後、パネリストのミッシェルさんとモインさんの日本に来た経緯やキャリアゴール像の紹介がありました。そしてそれを会場と共有したうえで、本題として佐藤研究員からパネリスト2人へ、日本企業で働いていて温かいと感じたシーンや冷たいと感じたシチュエーションについての質問がされました。2人は、自分も多くの企業で働いたわけではないのであくまで個人的な経験だと前置きをしながら、それぞれ回想しながら経験を語りはじめました。2人に共通していたのは、日本企業が日本の習慣や社会人になるということを教えてくれたということが温かく感じたということです。そして来場者(留学生OG・日本人OB・大学職員)も交えた議論後半では、職場のことのみならず、結婚、子育てなどの話題にまで及びました。
パネルディスカッション後の質疑応答では現役留学生からの率直な質問もあり、東京外国語大学大学院で学ぶスペイン出身の方からは、グローバルな人材を求めるというトレンドがあるが、本当に戦略性をもって留学生を採用する企業はどう見分けられるかという質問、早稲田大学大学院で学ぶカザフスタン出身の方からは博士課程出身者をなぜ企業は採用しないのかという質問をお受けしました。
そして最後に、共催者のあきら基金共同代表 横井篤文氏からは、このような場は多様な人たちが集まり議論する貴重な場であり今後も継続していく事を期待している、とのコメントがありました。その後、参加者間の積極的な交流会が開催されました。
主催 : アジアキャリア開発研究会 (代表 : 佐藤寛晃 (財)日本総合研究所主任研究員)
共催 : あきら基金 (Akira Foundation Japan (AFJ))
企画協力 : 寺島文庫・みねるばの森スカラーシッププログラム※2
ゲスト : 立命館アジア太平洋大学(APU) 初代学長 坂本和一氏
コーディネーター : 佐藤主任研究員
パネリスト : 黄 竹君(ミッシェル・ファン)氏
台湾生まれ。APU卒業後、日系化学メーカー入社。本社人事部・関連会社にてグローバル人事業務等に従事中。
パネリスト : エムデ・モイン氏
バングラディッシュ生まれ。APU卒業後、日系電機メーカーを経てドイツ系グローバル企業にて財務業務部に転職。
※1:日中韓で推進する単位互換を軸とした大学間交流制度。寺島実郎は推進会議の日本側委員を務める。
※2:本プログラムは、寺島文庫で開催されるセミナー、勉強会等への学生招待枠の提供、 文庫Caféみねるばの森でのスペース提供等を通して、留学生・学生等の社会活動を支援する制度です。