寺島文庫

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2013年第30号より

バイオリファイナリー関連セミナーin四日市

主催:三重県
 
5月27日(月)、三重県・四日市都ホテルにて「新たなビジネスの創生に向けて」をテーマに企業関係者や行政関係者など約150名を対象に三重県主催セミナーが開催されました。昨今の資源の枯渇、エネルギー需要の拡大など、世界規模での環境・エネルギー問題、さらには東日本大震災以降のエネルギー制約を背景として、環境・エネルギー関連分野は新たな成長分野として期待されています。このような環境・エネルギー関連分野の次世代産業を担うバイオリファイナリー・バイオケミカルは、発酵・抽出技術などの製造技術、プラントの設計・施工技術、機器製造技術やメンテナンス技術など日本が強みを有する技術分野であり、新たな産業創生が期待されています。
 
 このように新たな産業創生を目指す「みえバイオリファイナリー研究会」が同日設立され、キックオフセミナーとして同研究会特別顧問である寺島実郎が「総合エネルギー戦略の中でのバイオリファイナリーの意味」をテーマに講演を行いました。まず世界のエネルギー情勢にふれながら、日本のような先進的技術を有する国は化石燃料に過度に頼ることなくエネルギーソースを多角化することが重要であると述べました。そういった文脈の中で燃料だけでなく化学製品の製造までをも可能にするバイオの大きな可能性について言及しました。バイオリファイナリーを進めていくなかでの三重県・四日市が有する強みとしては、石油化学コンビナートを核に日本をリードする技術を持った企業群があり、プラントがあること、森林資源や海洋資源に恵まれていることなどを挙げました。
 さらに、住民参画型の環境・エネルギー戦略としてバイオリファイナリーを進めていくことが可能であるとし、分別して作り出した生ごみ(ソフトバイオマス)から新しい産業や雇用が生み出されていくことを実感できる「住民が参画するプラットフォーム」を形成することができればこのプロジェクトがさらに大きな意味を持つとしました。
 最後に寺島は、研究会座長である京都大学の植田充美教授が有する世界的に優位性のある技術や、ポテンシャルを持った企業や豊富な資源等をバックグラウンドとして、様々な主体を参画させながらいかに具体的なプロジェクトとして進めていくか、まさに「プロジェクトエンジニアリング」が今後の三重県・四日市での取組の鍵になると語りました。