寺島文庫留学生支援
東アジアの将来をまじめに考える会 「東アジア共同体の展望と障害」
2012年4月21日(土) 会場:文庫Caféみねるばの森
2012年4月21日(土)文庫Caféみねるばの森にて国際交流基金所属の丁寧氏(中国出身)を中心とした有志(中国人留学生、日本人大学生、大学教授等)が集い、「東アジアの将来をまじめに考える会」が開催されました。本会では、「東アジア共同体の展望と障害」と題して寺島実郎の講演も行われました。文部科学省・日中韓大学間交流・連携推進会議委員、同省・大学の世界展開力強化事業準備会合委員を務める寺島は、日中韓のみならず東南アジアを含めたキャンパスアジア構想(単位相互認定)について欧州のエラスムス構想、EU誕生の経緯を例に挙げ、相互不信が存在するアジアでも段階的接近法として若者の交流が不可欠であり、「東アジア共同体」と唱えるだけでなく、連携し実利を積み上げていくことの重要性を語りました。
また、経済面ではアジアのGDPは世界GDPの3割に迫り、インドの経済成長もあり近い将来5割を超す。例えば中国の自動車販売台数は1,800万台を超え、インドも300万台を超え、近い将来800万台を超える。インドの人口も10年後には中国を抜く。つまり、ビジネスモデルにおいてもアジア諸国との連携・相関が不可欠であり、今の若者はどのような職業に就いても、モノ、ヒト、カネの動きにおいて中国やインドをはじめとしたアジアダイナミズムと向き合わざるを得ないと語りました。
後半は人流面のアジアダイナミズムを日本がいかに取り込むかについて、「中国の海外渡航者数は2011年で7,025万人(内5,000万人は香港、マカオへ渡航)に達しており、衰退が予想された香港経済は本土の中国人海外渡航者の消費により支えられている。日本は観光立国を掲げ、訪日外国人3,000万人を目指しているが、その8割は中国人を中心としたアジア人である。少子高齢化の日本は訪日外国人・移動人口を増やすことが必要で、ただ秋葉原や銀座の買物客、温泉地の観光客を取り込むのではなく、パリにIEAやアラブ世界研究所等の人が集積する「装置」があるように、日本も人が「行かねばならない装置」を創り、情報価値を求めた問題意識と熱意のある観光客を取り込む必要がある。」と語りました。
講義後は、中国人留学生・メディア関係者との東アジア連携への実現に向けた活発な質疑応答が行われ、最後に、日本における留学生の就職支援・交流支援を軸とした寺島文庫のNPO法人設立構想が寺島より紹介され、講義は終了しました。