寺島文庫

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寺島文庫 近隣探訪記

 寺島文庫と蕃書調所 ~その1~


 1857年1月18日、現在の寺島文庫からほど近い飯田町九段坂下牛ヶ淵(現在の千代田区九段南。靖国通りと内堀通りの交差点付近)に蕃書調所が開校しました。
 同所は外国書物の翻訳・調査、及び洋学を教授する江戸幕府の直轄機関であり、医学所、昌平坂学問所とともに東京大学の源流として知られています。当初は蘭学を中心に扱いましたが、西欧列強の圧力に対処するため、調査・研究の対象を、英学及びフランス、プロシア、ロシアの語学や技術にまで広げました。

 寺島は、現代を理解する試みとして、一国史的な枠組みに捉われず、諸文明・地域間の相互連関を重視する「グローバル・ヒストリー」の重要性を講演や著作で語り続けてきました。なかでも「17世紀オランダからの視界」(『世界』岩波書店)は、「近代」を深く理解する試みとして、現在まで26回の連載を数えます。
 蕃書調所の考察は、幕末日本と西洋、そして日本が近代に出会った瞬間をダイナミックに描き出す作業につながります。次回からは、蕃書調所の具体像に迫っていきます。

(2014年12月17日)